緑内障診断の押さえどころ

0.最近の手術

 流出路再建術…シュレム管
  全周切開ロトミー
   ナイロン糸で
   術後眼圧 13〜15mmHg
 濾過手術…線維柱帯
  エクスプレス
   術後眼圧 10〜13mmHg


1.眼底検査の押さえどころ

 視野異常
  緑内障
   鼻側階段
   ブエルム領域の弓状暗点
   傍中心窩孤立暗点
  SSOH
   マリオット盲点に向かって楔形

 視神経乳頭
  緑内障
   陥凹拡大
   rim菲薄化
   NFLD
  SSOH
   乳頭上方の辺縁の直線化
   乳頭上方のrimの菲薄化

 視神経低形成…”盲点に 楔打ち込む 低形成”
  SSOH
   両眼>片眼
   女>男
   若い人に多い
    40歳以上 0.3%
    20歳位  4.3%
  傾斜乳頭(逆位乳頭)
   D型乳頭
   上方の視野の1/4が楔状暗点

 大乳頭・小乳頭
  DM/DD比
   大乳頭 ≦2.2 (”乳頭が 二つ並ばぬ 大乳頭”)
   正常  2.2〜3.2
   小乳頭 ≧3.2 (”乳頭が 三つも並ぶ 小乳頭”)

  小乳頭
   陥凹の拡大の評価は困難
   視野検査に頼るしかない

 乳頭陥凹拡大は網膜疾患でも生じる(←視神経節細胞の消失)…散瞳して確認
  AION…重要でかつ鑑別困難
  視神経炎
  視交差部圧迫性脳腫瘍
  静脈閉塞症
  動脈閉塞症
  網脈絡膜変性


2.視野検査の押さえどころ

 緑内障のパターン
  上下で発現時差…鼻側階段
  鼻側周辺から障害
  乳頭所見と一致

 Anderson-Patella's criteria
 +信頼性の確認
 +年齢・加入度数の確認…誤入力でMD、トータル偏差に影響

 SITA-fast or standard
  fastは再現性が乏しい
  fastとstandardが混じると判定が困難
  

3.OCTの押さえどころ

 TD−OCTからSD−OCTへ
 高速スキャンにより可能になったこと
  固視微動↓
  解像度↑
  3次元
  マップ
  加算平均

 乳頭周囲
  NFLDがあるか?
   極早期、豹紋状眼底で有効

 黄斑部
  GCL

 視神経低形成のパターン
  耳側がメイン(”裏側の 繊維が欠ける 低形成”)
   アーケードのNFLピークより鼻側の菲薄化
   ただし、耳側のNFLD(緑内障)を合併していないか要注意

 近視眼のパターン
  網膜圧のピークが耳側に偏位
  ”中心に ピークが ずれる近視眼”

 OCT時代の緑内障診断
  乳頭異常と視野障害の一致
  OCTで客観的評価(答え合わせ)
  確信ない場合は経時的変化をみる
  結局は、人間の総合的な判断力


4.隅角検査の押さえどころ

 プラトー虹彩緑内障
  眼圧変動大
  軽度前房炎症
  →ポスナーシュロスマン症候群と誤診されやすい

 落屑緑内障
  眼圧変動
  繊維柱帯の色素沈着
  散瞳後軽度炎症

 隅角検査で、治る緑内障を発見すれば原因治療が可能
  治る緑内障
   原発性緑内障
    PACG→PI、水晶体摘出
   続発性緑内障
    ぶどう膜炎
    血管新生
  ”隅角を とばすなヒント そこにあり”


5.問診の押さえどころ

 初診時の問診は大事
  ステロイド軟膏(内服でなく)で眼圧上昇あり
  点眼無効が、アドヒアランス低下が原因のことあり

 眼圧良好なのに視野悪化
  角膜が薄くないか
  夜間眼圧が高くないか
  循環障害がないか
  乳頭が脆弱でないか
     +
  アドヒアランス不良
  ノンレスポンダー…無効なのかBL眼圧が間違っているのか

 眼圧上昇・視野悪化の原因は何か…問診が重要


6.付録 格言集

 ”盲点に 楔打ち込む 低形成”
 ”乳頭が 二つ並ばぬ 大乳頭”
 ”乳頭が 三つも並ぶ 小乳頭”
 ”裏側の 繊維が欠ける 低形成”
 ”中心に ピークが ずれる近視眼”
 ”隅角を とばすなヒント そこにあり”

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