眼窩骨折に適切に対応するために
0.前置き

「眼科プラクティス」では
 軽度→数日間経過
 下方視で複視→手術
 眼球陥凹→手術

漫然と経過を見ると
 眼球運動障害…複視
 眼球陥凹


T.病態

CT
 骨…白色
 眼眼筋…灰色
 脂肪…黒色
 空気…黒色

分類
 1.部位
  下壁
  内壁
  内下壁
  上壁=頭蓋底骨折
  外壁=頬骨骨折
 2.形状(折れ方)
  開放骨折
   明らかに折れている
  閉鎖型骨折
   一見折れていないように見える
   骨の弾性により元の位置に戻る(若木骨折)
   眼窩組織が骨折線に絞扼(トラップ)
   white-eyed blow out fructure
    所見に乏しい


U.統計

年齢、性別
 10〜20才代 男性
 
 年齢が低い…閉鎖型が多い 10才まででは8割
              20才まででは圧倒的に多い
 年齢が高い…開放型が多い

部位
 1割は眼窩以外の骨折を合併
  頭蓋亭>鼻骨>上顎骨>頭蓋底
 頭蓋底もありうるということ
  CTで頭蓋内のfree air→すぐに脳神経外科へ紹介


V.診断の手順とポイント

 Hess chart
 両眼単一視野
 ヘルテル眼球突出計
 CT

問診
 だぶって見える
  正面視での複視の訴えは少ない
 眼を動かすと痛い
  複視の自覚がないこともしばしば
 頬がしびれる
  三叉神経第U枝は小鼻、口唇、歯茎も支配
 鼻をかんでまぶたが腫れた
  気腫
 嘔気
  迷走神経反射
 口を開けにくい、開けると痛い、噛み合わせができない
  頬骨・上顎骨骨折
 鼻閉感
  鼻骨骨折
 鼻水
  頭蓋底骨折(髄液鼻漏)

Hess chart
 再現性高いが30°までしか測定できない
両眼単一視野
 全視野を測定可能できるが誤差が大きい
 正常域
  上方40〜50°、下方50°、鼻側50°、耳側50°

 2つはセットで検査することが重要

Forced duction test
 絞扼眼窩組織を損傷する可能性あり
 原則的に行わない

CT
 3方向の軟部条件
  水平断
  冠状断
  傍矢状断…視神経と平行に
 狭いスライス幅
  2.0mm以上では不可
 小児では被爆を考慮
 合併骨折では3D撮影


閉鎖骨折は要注意
 嘔吐
  脳神経外科を紹介…脳震盪と誤診しやすい
 CT
  脂肪が上顎洞内に Bone thickness sign
   骨折に伴って骨膜下に出血
 絞扼
  脂肪だけではない
  下直筋…Missing rectus
   眼窩内から下直筋がmissing
  絞扼された筋肉の壊死の可能性…超緊急手術(24時間以内)

手術
 時期
  明確なガイドラインはない

 閉鎖型
  自覚がない場合を除き、早期に手術が必要
   遅いほど眼球運動の回復に時間がかかる
   一定時間過ぎれば回復しない
  2〜4日以内が望ましい
  Oculocardiac reflex
   嘔気・除脈・失神が三徴

 開放型
  経過は様々…総合的に判断
  複視の自覚→手術
  内下壁、広範囲の単独骨折
   眼球陥凹を生じやすく2週間以内の手術が勧められる

 手技
  @骨折した自家骨片または吸収性人工骨(Super FIXSORB)
  Aシリコンプレート
    3ヶ月で抜去
  アプローチ
   経皮または経結膜または経鼻腔

Copyright © Sugimoto Ophthalmic Clinic All Rights Reserved.